姿を隠しても、富士山は富士山
雨の日に、富士山が教えてくれたこと

朝から雨が降っていた。
空は重く、雲は低く、山はすっかり隠れている。
正直に言えば、「今日は何も見えないだろう」と思っていた。
それでも、ふとした瞬間、 雲の切れ間から、山の稜線が現れた。 一瞬で、すぐにまた消えた。 写真に写るのは、ぼんやりとした影だけ。
でも、その影を見たとき、 「見えない=無い」ではないのだと、強く感じた。
富士山は、雲に隠れていても、 雨に打たれていても、 何も変わらず、そこに在り続けている。 人の都合や天気とは関係なく、 ただ、在る。
私たちの暮らしや人生も、 同じなのかもしれない。 先が見えない日、 努力が形にならない時、 自分の価値が分からなくなる瞬間。
そんな時でも、 すべてが消えたわけじゃない。 見えなくなっているだけで、 積み重ねたものは、ちゃんと残っている。
雲が晴れれば、また姿を現す。 晴れなくても、存在は消えない。
今日の富士山は、 「焦らなくていい」 「見えない時間を否定しなくていい」 そう静かに語りかけてくれた気がした。
雨の日の山は、派手さはない。 でも、不思議と心に残る。 だからこそ、今日の一瞬は、 とても贅沢な景色だった。
